恵方巻の品揃えは、コンビニチェーンによって方針に違いが見られます。どちらかというと本来の丸かぶり寿司からスイーツや惣菜系に力が入るようになっている流れは、今年も変わっていません。商品によってはもはや恵方巻の範疇から完全に逸脱か(笑)
〔コンビニの恵方巻パンフレット、2010年〕
■7-11の寿司アイテムは実質1種類に収束
なぜか毎年続けている(勢いで続けざるを得なくなっている?)恵方巻の話(07年、08年、09年その1、09年その2)の2010年版です。今年もコンビニ各チェーンのパンフを集めて比較をしてみました。あくまでも品揃えとプロモーション(と商標)の話であって、味の比較ではありませんので悪しからず。
昨年はサークル・ケイ・サンクス(CKS)がトルティーヤで当たった気配があった(?)ので、「次は惣菜系が増えるだろう」と予測しました。実際、とんかつなど揚げ物を巻いた恵方巻もどきが、寿司系以外のチェーンで少しずつ広まっているようです。しかしセブンイレブン(7-11)以外のコンビニチェーンは特に追いかけてはきませんでした。
7-11は、「牛しぐれ煮恵方巻」という、明らかに惣菜系に分類できる商品を出してきました。その代わり(サイズ違いやセットを無視すると)本来の太巻き寿司はついに実質1種類に収束することとなりました。対してデイリーヤマザキ(D-Y)やファミリーマート(FM)は、本来の太巻き寿司が中心になっています。とはいえ、恵方巻寿司のアイテムは、今後もうあまり増えそうにありません。
■全面展開型のCKS、周辺商品依存型のLawson
以下、各チェーンの商品について横並び比較、昨年の比較をしてみます。「寿司」「蕎麦」「スイーツ」「その他」それぞれの商品アイテム数を下に列挙しました。
アイテムは、共通して“松” “竹” “梅”で表現することにします。
梅:長さが15~18cmの長いもので、恵方巻としてスタンダードな商品
竹:大半が“海鮮”を売りにしているもの。7.5cmから9cmのハーフサイズがほとんどで、短い分、梅と単価はさほど変わらないか、もしくは安い場合もあります
松:竹に何らかのプラスがされた贅沢版で、やはりハーフサイズがほとんどです
実際には必ずしも上中下の差がないかもしれませんし、チェーンによって横並びできない感もありますが、便宜的にこのように記させてください。また、以下の説明で「3本セット」「2本セット」といった商品は、アイテムとして一切数えていません。
◇サークルケイサンクス(CKS)…計10アイテム(寿4、蕎2、ス2、他2)
全面展開型。昨年に続き最も商品種が多いチェーンです。寿司は松竹梅と梅ハーフの4アイテム。蕎麦の種類が昨年から2減の2アイテムとなったかわりに、ロールケーキ1増とすきやき丼が加わり、トータル10アイテム。
昨年に続き「トルティーヤ」があるのがこのチェーンの特徴です。ただし昨年のトルティーヤは長さ14cm×直径5cmだったのが、今年は15.5cm×3.5cmと細長くなりました(理由は不明)。新たに加わったロールケーキ「黒豆と栗の和ロール」は、昨年からLawsonが出している黒豆入りのロールケーキと少し似ていますが、スポンジの生地が海苔のように黒くなっているあたりがユニーク。
また、どうでもよい話題かもしれませんが、CKSのパンフレットがほんの少しだけ昨年より凝った作りになっています。A4判2つ折ですが、中心から折らずに「ご予約特典」が書かれた部分が折っても見えるような工夫がされています(冒頭写真中央下あたり)。
◇セブンイレブン(7-11)…計7アイテム(寿2、蕎3、ス1、他1)
話題作り型。昨年の有名人路線(森公美子プロデュース恵方巻)を踏襲し、今年はグッチ裕三監修の「牛しぐれ煮恵方巻」が前面に出ています。すでに触れた通り、これは本来の寿司ではなく“惣菜系”に分類できます。本来の「丸かぶり寿司」はレギュラーとミニサイズの2種類こそあれ、実質的には1種類(竹)しかなくなってしまいました。あとはほぼ昨年と同様の商品構成ですが、昨年あった「とん汁」がなくなり7アイテムとなりました。
◇ローソン(Lawson)…計7アイテム(寿2、蕎3、ス2、他0)
周辺商品依存型。昨年と同じ7アイテムで、内容的にはほとんど違いはありません。寿司は竹と梅の2アイテム。ただし、商品名が「丸かぶり寿司」から「恵方巻」に変わりました。バンフは昨年の2つ折り(見た目にはA5判サイズ)からA4判を折らない体裁に変わりました。個人的な感想ですが、ここが最も(本来の)恵方巻寿司に力を入れず、スイートと蕎麦に頼っている気がします。
◇スリーエフ(3F)…計6アイテム(寿3、蕎1、ス2、他0)
中庸型。昨年と同じ6アイテム。寿司は松竹梅の3種。ロールケーキの価格などが変わった以外、ほとんど違いがありません。パンフレットの体裁も見事に同じで、写真も昨年と同じものを全くそのまま使っています。いや、だから悪いというのではなく、定番化したらあえて金かけて毎年内容や写真に手を加えなくてもいいじゃないか、という意味でむしろ納得します。
なお3F系列の生鮮コンビニq’smart(キューズマート)でも、同じ恵方巻を扱っていました。ただし松と蕎麦(と3本セット)以外の4アイテムのみ。パンフはやはり3Fのものを流用していますが、片面印刷にしてコストを抑えています。なんだか、片面に情報が集まっているq’smartのパンフほうがかえってわかりやすい気がします。
生鮮コンビニで恵方巻を扱っていたチェーンは、確かめた限りではq’smart以外になかったようでした。「100円コンビニ」の路線とは合わないであろうことは容易に想像できますが…
◇エーエムピーエム(ampm)…計6アイテム(寿3、蕎1、ス2、他0)
中庸型。寿司は松竹梅の3種で大きな変化はありませんが、ロールケーキのプレミアム版が新たに加わり、昨年より1アイテム増の6アイテム。しかしこのプレミアム版は直径6.5cmと極太で、すでにかぶりつくものではなくなっているようです。単に切って食べるロールケーキを便乗して加えているだけと思われます。なお、報道されている通り、ampmはFMに吸収合併されました。現在の商品構成は今年で終わりとなるかもしれません。
◇ミニストップ(MiniS)…計4アイテム(寿2、蕎1、ス1、他0)
小規模型。商品構成もパンフも体裁も、昨年とほとんど同じ。寿司は竹と梅。
◇ファミリーマート(FM)…計3アイテム(寿3、蕎0、ス0、他0)
原点回帰型。3本入りセットの価格のみ若干値下げされていますが、それを除けば、価格や具の内容まで昨年とまったく同じの松竹梅。昨年も書きましたが、このチェーンは本来の寿司に特化している点で、CKSやLawsonと全く違う方針をとっています。
■サラダ巻! 穴子!
もう1件、昨年まで全然チェックしていなかったチェーン。
◇デイリーヤマザキ(D-Y)…計6アイテム(寿4、蕎1、ス1、他0)
原点重視型。松竹梅のほかに「丸かぶり寿司 サラダ巻」というものがあります。ツナとカニかまは入っているけど、下手に穴子とかもたれそうな海鮮モノを満載していないスッキリ感に好印象を持ちます。もしかしたら、このチェーンが最も「寿司」の王道を行っていそうな感じがあります(昨年以前の状況はまったく把握していません)。
さらにもう一つ、当サイトでしか注目しないくだらない視点(笑!)、「穴子が入っていない商品」を挙げると以下の通りです(なぜ穴子なのかについては、過去の記事とコメントを参照)。
→ CKSの竹、3Fの竹、ampmの竹、MiniSの竹、FMの松と竹、D-Yの竹とサラダ巻
先に触れたD-Yのサラダ巻を別にすると、これらのほとんどが「海鮮○○」で、サーモン、ししゃも、漬けマグロあたりが主役となった商品です。
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恵方巻関連のこの春のニュースとしては、すでに09年その2のコメントで触れたように、「招福巻」商標に関する控訴審でイオンが鮨萬(すしまん)に逆転勝利したことでしょうか。コンビニ以外の恵方巻の件と商標の件は、記事を改めて書くことにします。
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