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起業のいま、むかし(「企業診断」特集より)

1990年前後から現在までの労働環境・起業環境の変化をまとめた記事を「企業診断」2007年8月号に書かせていただきました。就職氷河期といわれる間に社会に出た世代が直面した過去と今後を概括することが主テーマです。

企業診断記事図2
【契約社員という就業形態を選択した理由】

※厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」より内容の一部を抜粋。グラフ化した項目や表題などの表現にはかなり編集を加えています。注釈は後述

■20代後半から30代前半の世代に向けて
タイトルは「起業のいま、むかし ― 起業環境の変化とロストジェネレーション世代の出現」。「企業診断」は同友館発行の月刊誌です。今回の特集「起業新時代 ロストジェネレーションたちのいま」で、総論にあたる部分を当社松山が担当しました。

現在20代後半から30代前半、いわゆる就職氷河期の間に社会に出た世代のことを「ロストジェネレーション」と呼ぶそうです。彼ら彼女らが“起業”を目指すときの指針となる統計的裏づけや、すでに起業した同世代の人たちの想いを紹介する特集になっています。縁あって、その世代より一回り上の年代にあたる私が、いわば“エール”を送る格好になりました。

あらためてバブル時代からの労働環境を整理してみると、なかなか面白いデータに突き当たるものです。

冒頭のグラフ(厚生労働省関連の調査)は記事中のグラフを抜粋し表現を変えたものです。これをみると、たとえば1994年調査では「自分の都合の良い時間に働けるから(正社員でなく)契約社員となった」という意味の答えを選んだ割合が、1999年調査や2003年調査に比べてかなり高くなっています。一方、「正社員にはなれなかったから(しかたがなく)契約社員になった」というネガティブな答えは、1994年調査ではその後と比べてかなり割合が低くなっています。

1990年代前半というと、それまでの日本的労働環境が若者の働く意識に“本当に”合わなくなってきたころだと認識しています。「終身雇用や年功序列に縛られた企業の正社員より、もっと柔軟な働き方を望んでいる」。多様な中小ベンチャー企業はともかく、大企業にもそんな風潮が影響し始め、保守的な労働システムがすこしづつ変化をはじめた時期といってよいのではないでしょうか。

また現在は非正規雇用が増えたことが“問題視”されていますが、少なくともバブルの余波が残っていたその頃、「正社員からのスピンアウト」はもう少し肯定的に捉えていたようにも思えます。しかしバブル後の長期の不況がそれを簡単に許さなかったのかもしれません。そんなこんなの“働き方の事情”を記事としてまとめさせてもらいました。

※冒頭のグラフについての注釈
出展は、厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(労働政策研究・研修機構(JILPT)「労働政策研究報告書No.68」)です。記事中で元の統計データのごく一部のみを抜粋してグラフ化していますが、上記グラフはさらにそれを抜粋し、さらにタイトルも少し意訳し、見せ方(表現方法)も変更したものです。しかも、
・調査は複数回答
・選択肢はグラフに挙げた5項目以外にも多数ある
・各年の選択肢数や表現が異なる
といった事情があり、厳密には数値の推移を比較できないものといえます。ここではあくまでも傾向を“ざっくりと”紹介しているに過ぎないことをご了承ください。

■起業に向かう活力
前々回前回の当ブログの記事で、成果主義や長期雇用に関連したJILPTの統計データをご紹介しましたが、それらも今回の記事執筆に関連しています。今回ご紹介した統計データについても、正確で詳細な内容については元の出典を参照されてください。

「企業診断」の特集については、私の担当記事部分の見出しは次のとおりです。

1 日本の労働環境と企業の労働政策
(1) バブル前後の労働環境
1-1 ロストジェネレーションの位置づけ
1-2 非正規雇用を求めた新入社員
1-3 若手が望んだ労働環境の変化
(2) 企業の政策
2-1 中途半端だった人事政策
2-2 若手世代はワリを食った?
2 起業の歴史と若手の起業意識
(1) 起業意識
1-1 起業家年齢の上昇とLG世代
1-2 起業のタイプ別考察
1-3 起業に向かう活力
(2) 現代の起業環境
2-1 恵まれているか? 現代の起業家
2-2 「失われた世代」の強み

私の記事のほか、実際の起業家たちに対するインタビューが「若き起業家たちの群像」「ロストジェネレーションへの伝言」というタイトルで計6稿まとめられています。大上段に振りかざした起業論ではなく、身近な立場から起業について語られています。ご興味のある方はぜひ記事を読んで「起業に向かう活力」を感じてみてください。

「ビジネス能力検定1級テキスト」

「マネジメントの基本」という副題がついています。単なる検定試験用の教科書ではなく、いくつか実践的に役立つ内容が盛り込まれています。

Bken1級テキスト
「ビジネス能力検定1級テキスト2007年版 マネジメントの基本」
【財団法人専修学校教育振興会(監)、2007年、日本能率協会マネジメントセンター刊】

■問題解決法、コーチング、交渉術、財務計画書…
ビジネス能力検定(略して「B ken」。1級、2級、3級)は、もうすでに結構長い間行われている検定試験です。毎年この試験用の教科書が各級別に発行されていますが、2006年に大改定がありました。当社では、1級テキストの一部について少しだけお手伝いさせていただきました(内容の大半は別の方が執筆されています)。

〔目次〕
第1編 マネジメントの基本とビジネス技法
1 課題解決と知的技法
2 情報力と提案力
3 キャリアマネジメント
第2編 組織とリーダーシップ
4 職場を変革するリーダーシップ
5 ビジネス交渉術
6 活力ある組織の運営
第3編 事業プランニング
7 マーケティングと経営戦略
8 事業推進のための財務
9 経済・経営の一般知識

目次にあるようにカバーしている分野は広範囲ですが、実践的な情報や事例および今日的な話題がいくつか盛り込まれています。たとえば、コーチングの進め方、外部との交渉術、目標管理制度、ビジネス法務、内部統制システムの仕組み、ビジネスプランや財務計画書の作り方など、入門的な内容とはいえ、多くの一般ビジネスパーソンに役立つところがあるでしょう。

■ドキュメンテーションのイロハから、体系だった提案書まで
以前の記事(書評)「RFP入門 ― はじめての提案依頼書」で、ビジネス・ドキュメントの題材が実践面で役立つことに触れました。本書では、提案依頼書より多くの人が作成に携わるであろう「提案書」について、8ページほど使って構成例が解説されています。冒頭の写真がその一部です(小さくて読めないと思いますが…)。

このテキストシリーズは、1級から3級までこうしたビジネス・ドキュメントの実例が示されていることが一つの特徴といえるかもしれません。文書作りの“イロハ”である定型的文書から、級が上がる順に複雑で非定型的な文書へとステップアップしていくことになります。

・3級テキスト
(社内向)業務日報、議事録、通知書、報告書
(社外向)請求書、業務依頼書、照会書、挨拶状、招待状、礼状、年賀状
・2級テキスト
(社内向)議事録、報告書
(社内外向)企画書
(社外向)督促状、詫び状、謝絶状、見舞状
・1級テキスト
(社内外向)提案書

かなり長い間ビジネスの世界にいても、日々の業務は意外と限られた範囲にとどまっていて、あらためてこうした文書作成に直面すると戸惑ってしまう経験が誰にもあるものです。文書の書き方は組織や環境によって“流儀”が大きく異なるものなので、文書例によっては「ずいぶん古臭い書き方だ」とかいろいろ感じる部分もあるかもしれません。でも、文例集とは違った意味で役立つ書物になっているように思われます。

「数字で考える「人」「チーム」「組織」入門」

誰でも読んでいただけそうな部分と、少し専門的に入り込んだ部分と、少し極端な要素が同居しています。広く一般的な話題を展開しつつ特定のテーマについてピンポイントで狙いをつけて踏み込もうとしたわけなのですが、結果として成功したかどうか、なんともいえません。

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【明日香出版社刊、2003年】

弊社松山が執筆した書籍です。人材マネジメントといっても、本書ではサッカー、野球、陸上、水泳といったスポーツに関する話題をいくつも盛り込んでいます。…「巨人の星」の星飛雄馬まで題材に用いてしまいました(笑)…。難しいことを考えなくても、人材マネジメントなどまったく専門外の人であっても楽しく読めるようにしたつもりですが、本当のところどうだったでしょうか。お読みになった方があれば、ぜひご意見を伺いたく思っています。

表題通り「数字」で人事マネジメントについていろいろ考えてみよう、というのが大きなテーマです。ただし、人や組織を数字で「規定」してしまおうという考えでは決してありません。狙いはむしろ逆で、数字というツールを使って人や組織を客観的に見つめながらも、その「客観」と当事者の「主観」の違いをきちんと認識し、創造性が発揮できるよう工夫していこうというスタンスを持っています。「客観」と「主観」を区分けるための重要な要素として「人事測定(≒アセスメント)」と「人事評価(≒意思決定・判断に直結するもの)」を厳然と区別すべきことを、本書を通じて強調しています。

そして最後の第6章Section3では、「項目反応理論」(Item Response Theory:略して「IRT」)という得点付けの方法について少し細かく説明しています。表計算ソフトなどを用いた数値解析を行い、具体的にIRTによるテストの点数付けを行った例(小さなモデルにすぎませんが)を示しました。このあたりの記述は、人事測定の専門書を除けば他の書物にないユニークなところだと思います。

第1章 個人と組織の関係を考えよう
Section1 人事・組織とは
Seciton2 人や組織を数字で“測る”とは
第2章 個人の力を高める
Section1 個人の能力を把握するには
Section2 個人の性格を測る
Section3 社会で必要とされる基礎能力
Section4 資格試験/検定試験の利用
第3章 仲間・コーチとの協力
Section1 チームワーク
Section2 コーチング
第4章 チーム作り
Section1 チーム作りと戦略・戦術
Section2 コンピテンシー
第5章 組織の運営
Section1 組織特性の測定
Section2 評価・報酬制度と数値化
Section3 研修・教育のシステム作り
第6章 カリキュラムとモノサシ作り
Section1 人材育成カリキュラム策定の基本
Section2 テストと測定
Section3 項目反応理論の応用

「Microsoft Excel ビジュアル活用法」

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【志村修一(著)、日経BP出版センター刊、1995年/1996年】

仕事仲間でもある志村さんの著書です。当社ではこの書の編集という立場で少しお手伝いさせていただきました。

〔目次〕
序章 ビジュアルフォームとは
第1章 ビジュアル経営分析
第2章 損益分岐点の分析
第3章 即効! ビジュアルフォーム集
第4章 小規模事業向け給与計算
第5章 宛名印刷付き簡易住所録
第6章 売上管理プロトタイプ

(1) 損益分析や給与計算といったビジネス分野のフォーム集で
(2) VBAプログラムリストでExcelデータを加工処理方法まで学べる

のですが、個人的には何より

(3) ビジュアルに描かれている表現が、見て楽しい!

ことが特徴と思っています。表計算ソフトというツールでここまでビジュアルに楽しく情報を表現できるのか~、というのが少し驚きです。

写真は「Excel5.0」版ですが「Excel7.0」版および「Lotus 1-2-3」版もあります。とはいっても、この本も出版してすでに10年経ってしまいました。今でしたら「Web上で数字データをいかに表現するか」、といった場面で参考になるかもしれません。

「これでバッチリ! 青色申告」

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【山田谷勝善、志村修一、小倉美香、井上きよみ、松山俊一(著)、井上一生(監修)、日経BP社刊、2000年】

どこか安易なタイトル(笑)ですが、中身はいたって真面目。弊社松山の企画をもとに5人で執筆しました。前身に「パソコンでかんたん 青色申告」という書籍があり、その改訂版です。改訂に伴い説明上使う会計ソフトを「弥生会計2001」に特化していますが、考え方としてはこのソフトに限ったものではありません。個人事業者が年間通じた帳簿付けを続け、最後に決算を確定させて確定申告に至る流れを具体的に説明しています。

Part1 確定申告とパソコン会計
Part2 青色申告に向けた準備
Part3 ソフト導入時の設定
Part4 スムーズな帳簿付けのために
Part5 間違いやすいポイント
Part6 決算2ヵ月前からの準備
Part7 申告直前の準備と決算の確定
Part8 青色申告を次に生かす