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コンビニ 5-低くなった業界の垣根

コンビニから他業態への業態拡大とともに、外の業態からコンビニ周辺へ進出も目立ちます。関連流通業をまきこんだ、企業買収・業界再編の動きも注目です。

「まいばすけっと」とローソンのベーカリー
〔イオンのサテライト型店舗と、ローソンのベーカリー〕

■店舗立地の妙と物流の強み
これまでコンビニ(標準型)がほぼ独占していた顧客を、他の業態がいろいろな形で侵食しています。まあ、最近始まった話というわけではなく、もう何十年も繰り広げられている争奪戦の一つと考えた方が良いのかもしれませんが…。

イオンが展開を始めている「まいばすけっと」も競合店の一つでしょう。写真の青物横丁店はイオン品川シーサイド店から歩いて7~8分の場所に立地しています。この店は、イオン(総合スーパーであるジャスコ)の近くにサテライトのように店を構えているところが特徴です(まいばすけっとの別の店は、必ずしもサテライトというわけではなさそうです…)。

イオン本体との間に国道を挟んでいることや、私鉄の駅からみるとイオンや他の地元食品スーパーと逆方向にあることなど、「ちょっと駅向こうのスーパーまで行くにはおっくうだな」と心理的に感じる地域の消費者をうまく吸引できる位置にあると思われます。

また、この店からイオンと逆方向に10分ほど歩くとJR大井町駅があり、イトーヨーカドー、西友、アトレ、丸井などがひしめいています。通勤経路の関係などからヨーカドーや西友を使うことが主になっている中間地点の消費者に対して、空白の一部を埋めるような意図が感じられます。

売場面積約150m2、取扱品目数3000品目と、“コンビニ仕様”よりわずかに大きめ。営業時間は7時から24時。入り口を入るとすぐに生鮮品(パック含む)がドンと目に入ることや、飲料や日配品がイオンと同じ価格で手に入ることが、周辺に4~5店あるコンビニとの大きな違いです。

いわゆるサテライト店の類は、これまでも外食チェーンなどで試みられてきましたが、結果的に大きな成功を収めたといえるものは少ないのではないかと思われます。しかし、生鮮に進出したコンビニよりもともと生鮮を扱うスーパーの小型化の方が、消費者からみるとまだ安心して買える気がします。物流の点でも大きな負担はなさそうです。今後どのように変化していくのか、ウォッチしたい店の一つです。

「まいばすけっと」のほか、ドンキホーテの「情熱空間」(広さ180m2、品目数1万2000品目、24時間営業)、小型100円ショップ、駅中コンビニ(キオスク含め)など、コンビニとの競合は増えるばかりです。

■コンビニが併設する“パン屋さん”
少し話の内容が異なってしまいますが、ローソンが12月に開いたばかりの「ナチュラルローソン ベーカリー」は、すぐ近くにあるナチュラルローソン店舗のサテライトのようにみえます。飲料など同じ商品が売られているとともに、普通のコンビニでは対応できていない「焼きたてパン」をきちんと提供する機能を持っています。

同社のニュースリリースには「“焼きたてパン”の新商品開発や、お客さまの動向を調査するテストマーケティングを行う」と書かれています。つまりここで大きな収益をあげたり多店舗展開するというより、売れる商品を作り上げその成果を標準化して他店に広げていくことが眼目のようです。

しかし、逆の発想はできないものでしょうか。標準化した商品開発をコンビニ独自に行うのではなく、例えば各地にあるベーカリーや惣菜店、おにぎり屋さん、和菓子店といった専門店と個々に(または地域ごとに)提携して、それらの専門店をサテライトのように(互いに)利用すればいいではないか? と。

この場合、コンビニ本部が無理に商品標準化を推し進める必要はありません。提携する専門店の商品の特徴を生かすことで、かえってコンビニ個店の強みにつながるはずです。問題は、そうした外部との提携、商品の選択、予定販売数量の予測といったオペレーションとソフトウェアの部分でしょう。地元企業との販売提携にはリスクもあるでしょう。しかし、その部分こそノウハウ化していければいいのではないかとも思うわけです。コンビニが小売チェーン店としての強さを発揮する一方策ではないかと想像します。

■業界再編近い? コンビニ業界
コンビニ業界は、いま少しキナ臭さがあります。少なくとも何らかの企業買収やグループ化が進むだろうと予測されています。7-11、FM、ローソン、サークルKサンクスの4大チェーンがそのまま今後も続くかどうかわかりませんし、それに続く中堅チェーンとなると、いつどこに買収されてもおかしくありません。

いま業界内の噂としては、am/pmが“売り”状態にあるとか。am/pmは「牛角」など外食産業で大きくなったレックス・ホールディングスの傘下にありますが、そのレックスは昨年(2006年)くらいから業績が低迷し始め、11月にMBO(経営者による企業買収)→上場廃止、となりました。戦略建て直しの中で、am/pmおよび高級スーパー「成城石井」といった小売分野は手放すのではないかと噂されているわけです。

もう一つ注目されているのが、コンビニ側からみて強力な競争相手であるSHOP99。ここはプリント基板設計・製造の(というより企業再生のための投資事業会社?)キョウデンという会社が親会社です。基本的には成長段階にあるSHOP99ですが、さすがに出店ペースは鈍っており、そろそろどこかの流通グループに売却されるのではないかと噂されています。

イオン、イトーヨーカドー(セブン&アイ・ホールディングス)、ドンキホーテなど、多かれ少なかれSHOP99に興味を持っていることでしょう。“何でも欲しがるイオン”が有力だとか業界では噂されています。意外とこれまで日本勢の後塵を拝してきた米ウォルマート(&西友)が獲得するなんてこともあるのではないかと個人的には思えます。“Everyday Low Price”のウォルマート式とSHOP99とは相性がよさそうに思えますが、どうなのでしょうか。

(これらの買収話はあくまでも「噂」にすぎません。念のため)

▽追加記事:
SHOP99は、ローソンと資本・業務提携に踏み込んだようです。ローソンストア100とSHOP99は統合に向けて検討されるとのことです。

・ローソンのニュースリリース(2007年2月28日)
http://www.lawson.co.jp/company/news/1171.html

▽関連情報:
・napparaのスーパーなひとりごと
その時、イオンは何をしてたのか?(まいばすけっと)
http://blog.livedoor.jp/nappara48/archives/50345472.html

・外資系経営コンサルタントの論理的思考メモ #052「新たな段階を迎えたコンビニ業界」
http://earthborn.blog12.fc2.com/blog-entry-140.html

コンビニ 4-個性の追求は難しい

「コンビニは、仕方なく行く場所?」 いくらコンビニ基本型のビジネスモデルが優れているといっても、好んで行く消費者がどれほどいるものでしょうか。

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[CVS新業態の位置づけ2]

■結局“基本型”に回帰していくのか?
記事「コンビニ 1-新業態、増える」で、生鮮型コンビニやファストフード型コンビニの位置づけを試み、続く記事2本でそれぞれの実店舗の様子について軽く触れました。これらの中で「新業態は、その特徴を出そうとすればするほど他の業態に近づく」「基本型に収束していく可能性が強い」といった意見を書きました。

先に示したコンビニ新業態ポジショニング・マップを、冒頭の図のように少し単純化させました。コンビニと離れた新業態として“羽ばたっていく”ものを別にすれば、それぞれ関連業態をかすめてブーメランのように戻り、コンビニ基本型の強化として根付くのではないかと推測しています。

■生鮮棚をどう充実させるか
イートインを持つファストフード型コンビニ(図の左下方向)は、どこからみても売場面積に対する効率が低く、そのまま多店舗化するには無理があります。従来からミニストップがやっているような小ぶりなイートインにとどまらざるを得ないのではないかと推測されます。調理が必要な中食メニューなどは、うまい形で取り入れられるところもありそうです。

生鮮型コンビニ(図の右上方向)は、少なくとも店頭を見る限り生鮮品が置かれているがゆえの強みはあまり感じられず、均一料金も不徹底にならざるを得ない状態なので、コンビニ基本型と決定的な違いがよくわかりません。ただし、バックヤードや本部のオペレーションにはかなりの違いがあるはずで、そこをどう活かすかはチェーン全体の戦略として重要でしょう。

生鮮食品を安定的に取り入れるため、とくに青果物に関しては卸売市場など大量仕入に向くルートと契約農家など個別提携するルートとを併用する必要があるでしょう。いくつかリスク・テーキングをしながら仕入ルートを確保しなければなりません(すみません、このあたりの実態がどうなのかを当方は把握していません)。ここまでやれれば、本部としての機能が発揮できるということになるのでしょう。

また、雑貨や加工食品、日配品の一部では、売価を100円前後に揃えたPB(プライベート・ブランド)商品の存在価値も出てきそうです。そのためには、資本系列に総合スーパーがある7-11(イトーヨーカドー)、ローソン(ダイエー)、ミニストップ(イオン)あたりの方が商品企画力の上で有利でしょう。もっともPB商品は一つ間違うと“安売り”のための商品というイメージが強くなるかもしれません。

既報のように、ファミリーマートと7-11は、新業態開発ではなく既存の店舗に生鮮棚を入れる展開を進めているようです。スリーエフもq’s martでやや無理な多店舗展開を目指したことを反省し、既存店への生鮮品展開を重視する方向に舵を切ったようにみえます。

図の左上方向(100円ショップ型)については、これまでのコンビニ基本型でもかなりカバーしていた領域のような気がします。つまり売り方が異なるとはいえ、実に多種の雑貨をこれまでも取り扱ってきた経験があります。ただし品揃えの上で、コンビニは「買ってすぐ使うもの」のみ、100円雑貨ショップはそれに加え「いつ使うか必ずしもわからないが、買って楽しめそうなもの」という違いがあるでしょう。コンビニ側からすると、限られたスペースに生活雑貨をどう品揃えするかという“戦術”に拠るのではないかとも考えられます。

■店、従業員、客の個性
そして問題は右下方向です。ここで「生鮮小売店」としてあるのは、普通の青果店、精肉店、鮮魚店、惣菜店をイメージしています。または地域に根付いている食品スーパーも当てはまるかもしれません。ようするに
・本来の意味で新鮮な生鮮品が相当の量または種類並んでいる
・店の人が客の求めに応じて臨機応変にオペレーションしてくれる
・その店でしか手に入りにくい商品が(ときどきでも)ある
店です。

そのためには「個店の特徴を前面に出す」「従業員の個性を活かす」「顧客ごとに異なるサービスをすることを厭わない」「ストア・ブランドの商品を持つ」といった対応が必要でしょう。言い方を変えれば「オペレーションの標準化」というコンビニ(というより多店舗チェーン一般)の最も基本となる強みを否定するようなものです。どのコンビニ・チェーンも踏み出せない領域なのかもしれません。

たとえコンビニを多用している消費者でも、コンビニに行きたくて行くという人はかなりまれだと思われます。ほとんどのコンビニ客は
・すぐに必要なので仕方ないからコンビニで探す
・少し高くても仕方がないからコンビニで買う
・まずくても仕方がないからコンビニ弁当で済ます
ものですよね。

さらに異なる視点ですが、どこの地域にも、なぜか安く雑貨や食料品を売っている、どこか“いかがわしさ”のある店というものが存在します。そういう店は品揃えがあまり一定していないものの、逆にそれが時々行くときに「こんなもんもあるのか」といった面白さや驚きにもつながる、不思議な魅力があるものです。洗練されていない分、素朴ではあり、市場(いちば)というものの活気をどこか残しています。標準化されたフォーマットとは異なる魅力があるのだと思っています。

コンビニは「標準化された便利さ」の代わりに「面白さ」も「新鮮さ」も「個性」も犠牲にしてしまっているという意地悪な言い方も可能です。仕方がないといえば仕方がないのでしょう。でも、この方向(個性化の方向)に展開することはできないものなのでしょうか。皆さんは、どう思われますか?

うーむ、もともといい加減なポジショニング・マップを土台にして、さらに無理のある話の展開をしてしまったかもしれません(!)

コンビニ 3-生鮮品揃えと均一価格

これまで弱点だった生鮮品に力を入れたコンビニ新業態のニーズは確かにありますが、既存のコンビニ・フォーマットと結局あまり差がなくなるかもしれません。

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[生鮮型のコンビニ新業態 3種]

■多店舗化が始まる“生鮮型”のコンビニ
記事「コンビニ 1-新業態、増える」でコンビニの新業態を次の3種類に分類しました。

A コンビニ基本型の補強
B ファストフード型
C 生鮮ショップ型

このうち「B型」については、前回の記事「コンビニ 2-付加価値型の“実験店”」で触れました。では「C型」はどうでしょうか。具体的に挙げると、次のようなものがあります。
・LAWSON STORE100(ローソンストア100)…ローソン
・Food style(フードスタイル)…am/pm
・99イチバ(キューキューイチバ)…サークルKサンクス
・q’s mart(キュウズマート)…スリーエフ

前々回の記事で「多店舗化まで踏み込めた新業態は『A型』のみ」と説明してしまいましたが、「C型」もいつのまにか結構多店舗化しているチェーンがあります。

■100円、99円、98円…、の均一価格
LAWSON STORE100は2005年5月に第1号店がオープンし、06年11月末ですでに76店舗になりました。ローソン本部は、標準のローソンおよびナチュラルローソンと並ぶ3つ目の主要フォーマットと位置づけています。商品の多くは、価格が税抜100円で均一です(弁当などは200円~400円程度)。ローソンのPB商品(100円対応)がいくつも目に付きます。店によって若干品揃えが異なるかもしれませんが、昔からある“地元の何でも置いている店”(または八百屋さん)を少しだけシステマチックにしたといった感じです。ようするに「雑貨店+超小型スーパー」ですね。

Food styleがオープンしたのは05年3月で、写真の下目黒店が第1号店。06年12月時点で39店舗。首都圏が主ですが、広島県にもすでに複数店進出しています。もちろん生鮮品を置いてあることが大きな特徴ですが、かといって生鮮主体というわけではなく、むしろ日用品・雑貨が結構幅広くある100円ショップ(正確には税抜98円)といった感じです。たとえば下目黒店はすぐ近くに24時間営業の食品スーパーがありますが、そこと比べると生鮮品による集客力は限りなく弱いと言わざるを得ません(あたりまえか…)。「小型100円ショップ+α」といったほうがよいような気がします。

99イチバは06年2月に第1号店オープン。06年12月現在で16店舗です。ここも、やはり全体から見ると生鮮品の比率が高い印象は必ずしもありません。税抜99円の商品が多い(資料によると80%)とはいっても、価格はかなりバラけていて一定していないように見えます。1コインショップのような打ち出し方をしていますが、オペレーション自体が普通のコンビニに近いのではないかとも思われます。

■SHOP99に近づきたいのか、それとも…
生鮮コンビニの分野では、言わずと知れた先駆者「SHOP99」があります。ただしSHOP99は、初めから生鮮“コンビニ”になろうとしたというより、同社が小型食品スーパーのあり方を考えていくなかで、結果的にコンビニと100円ショップを組み合わせたような業態になっていったとされています。

そしてそれらの成功を見たコンビニ各社が、我々にもできるかもしれないとこぞって進出したのが「生鮮型コンビニ」ということになるのでしょう。

コンビニ側が作ろうとしている新業態は、「生鮮」の強みより「均一価格オペレーションの強み」作りが主眼ではないかとも考えられます。しかしそれにしては均一価格も不完全ですし、本部システムの視点からすると、コンビニ基本型の運営システムとどこまで相乗作用があるか、かなり不透明な気もします。

もともと一般のコンビニでも、とくに北海道を地盤としたセイコーマートや、ヤマザキパン系のデイリーヤマザキなどがずっと以前から生鮮品を積極的に扱っています。また、ファミリーマートは、コンビニ基本型の店舗の中に生鮮(基本野菜、キット食材など)の棚を入れる「ファミマフレッシュ」本格展開を発表しました。セブン・イレブンも、いくつかの既存店で生鮮の扱いを実験しているようです。

結局、多店舗化できる「生鮮型」フォーマットは、実質的に上記分類で言う「A型」(コンビニ基本型の補強型)に収束していくのではないかとも予想できます。

▽追加情報
スリーエフも、全店で生鮮品の取り扱いができるよう、生鮮品の集荷機能を物流センターに持たせることにしたそうです。q’s martとは違い、小パックの野菜や精肉などが中心になるようです。(日経MJ 2006/12/18号より)

コンビニ 2-付加価値型の“実験店”

オフィス街や女性のニーズ、付加価値サービス、昼食のバリエーションに応えようとしたとき、コンビニはやけに“すまし顔”になるようです。


[付加価値型のコンビニ新業態 3種]

■女性が主役だと、何もかもが贅沢になる?
1つ前の記事「コンビニ 1-新業態、増える」で、コンビニ新業態を次の3種類に分類しました。

A コンビニ基本型の補強
B ファストフード型
C 生鮮ショップ型

このうち「B型」を具体的に挙げると、次のようなものがあります。
・Gooz(グーツ)…スリーエフ
・HAPPILY(ハピリィ)…am/pm
・ForkTalk(フォークトーク)…サークルKサンクス

安易に「ファストフード型」と呼んでしまいましたが、これはGoozとForkTalkのイメージからくるものです。店内または店先に客席があるイート・インの店作りで、購入したばかりの食事類や飲食類を座ってすぐに食べることができます。

これらの店の最大のターゲットは20代~30代の女性。女性陣の要望にきちんと応えようとすると、どうしてもいろいろなところに贅沢さがでてきます。

■好きなコーヒーの種類を選べる
今年(2006年)5月に開店したGooz渋谷3丁目店は、一見スターバックスのようなコーヒーショップのようにも見えます(Goozの第1号店は2004年2月に横浜でオープン)。売り場面積130m2で、混雑時以外店内はゆったりしているようです。置いてある商品の多くは付加価値モノ(要するにやや高め)。そしてセルフのコーヒー・コーナーで多くの種類(17種類?)から好きなコーヒーを選ぶことができるというあたりが特徴的です。一言で言うと「スタバ+コンビニ」でしょうか。

同9月にオープンしたForkTalk八重洲通り店は、コーヒーショップというイメージはあまり強くありません。20席強の客席はゆったりしていて、長居したくなるほどです。店内調理でパスタなどをサービスできるのが特徴。店内調理品もすべてテイクアウト可。もちろん、カップラーメンなどインスタント食品を買って客席で食べても構いません。「小型パスタ店+コンビニ」といったイメージでしょうか。

HAPPILY(2005年12月オープン)は、上記2フォーマットとはかなり違います。イート・インはなく、広い店舗に約7000アイテムの商品を並べているようです(オープン時資料より)。コンビニ基本形が約3000アイテム、ForkTalkが約2000アイテムですから、品目はかなり多いことになります。惣菜類やデザートなども多数揃えていますが、“女性のためのコンビニ”と強く謳っているように、化粧品関連が非常に充実しているところが目立ちます。少し偏った表現かもしれませんが「小型ドラッグストア+コンビニ」のようにも思えます。

■実験店舗の域を脱出できるか
イート・インは、以前からミニストップが実践してきました。しかし、少なくとも都会ではどうしても広い客席を用意することができず、オフィス街で、もしくは女性が安心して利用する形にはなっていませんでした。多種類のコーヒーとか調理パスタなどは期待されていなかったわけです。その他、女性誌、アイスクリーム、サプリメント、あぶらとり紙(!)、など女性向けの商品があふれて“すまし顔”の各店は、それぞれの店の近場で働くビジネス・ウーマンにある程度支持されることでしょう。

しかし、これらすべては「実験店舗」。車で言えばコンセプトカーのような位置付けなのでしょう。都心ではあまりにも空間効率が悪すぎるでしょうし、商品戦略も明らかに試行錯誤をしているようです。これらの店がこのままのフォーマットで多店舗化されることは考えにくいでしょう。実際、一部はすでにフォーマットの見直しを進めているとも伝えられています。

東京日本橋では、託児所併設のコンビニ新業態「ハッピー ローソン」が今(12月15日)まさにオープンしようとしています。これも形を変えた「付加価値型の実験店」といえそうですね。土地利用の関係もあり、約6カ月の限定営業とのこと。ローソンは1年ほど前からこのタイプの店舗開発を発表していたことからすると、実験店の開店にたどり着くまでにも、予定より長い準備期間を要したようです。

実験店だからこそ挑戦できる試みは多いことでしょう。でも、もしかしたらフォーマットを試行錯誤した結果、“普通のコーヒー・ショップ”、“普通のパスタ店”、“普通のドラッグストア”、“普通の託児所”が店の軸足となるかもしれません。もちろんそれでも、トライする価値は多分にある…、と思っています。

▽関連情報
太田美和子の取材日記 Gooz渋谷3丁目店
http://blog.goo.ne.jp/momoboom/e/0754ed437af90f2980a2462096cc4774
…Goozに限らず、小売などに関する第三者的な記事多数

次世代コンビニの情報は『次世代コンビニブログ☆』 Fork Talk(フォークトーク)
http://ameblo.jp/next-conveni/entry-10018129447.html
…Fork Talkに限らず、各コンビニ店、コンビニチェーンの記事多数

小さな石ころの上で 女性のためのコンビニ「HAPPILY(ハピリィ)」
http://blog.fujii.org/?eid=405661
…HAPPILYに限らず、小売流通ほかビジネス情報各種

コンビニ 1-新業態、増える

転換期といわれるコンビニの業態に、いくつもの新パターンがでてきました。しかし特徴を出そうとすると、結局既存の他業態に近づいていくようです。

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[CVS新業態の位置づけ1]

■いよいよ飽和状態となったコンビニ
コンビニの優位性は、ある一定のフォーマット(店舗形式や商品構成)とある標準的なオペレーションで、生活のさまざまな用途に適した商品、サービスを提供できることにあります。もちろん見かけのオペレーションだけでなく、コンビニ本部の商品開発システム、物流システム、情報システムなどに裏打ちされて、あの業態が成立します。

しかし、現在、国内のコンビニの店舗数は約4万店。特に都市部では相当の飽和状態にあります。一説では、国内の店舗数の限界は5万店程度だろうとも噂されていて、各コンビニ・チェーンは頭をしぼってその生き残りを模索しているところです。

そうした現状が、各コンビニ・チェーン本部に、さまざまな新業態の開発を促しているといえましょう。ただし最大手セブン・イレブンは基本型の店舗フォーマットと異なる業態開発に懐疑的で、既存店舗内での実験にとどめています。

■生鮮コンビニ、100円コンビニ、シティ型コンビニ
マスコミでいろいろ報道されているように、コンビニの新業態には次のようなものがあります。

A 基本コンビニの補強型
コンビニ基本型とほとんど変わらないが、少し凝った特別な商品群が用意されている。
B ファストフード型
「A」よりさらに品揃えを特化または付加価値商品、サービスを取り入れたもの。どちらかというと女性向け、またはオフィス街需要を見込んでいる。
C 生鮮ショップ型
基本コンビニの最大の弱点である生鮮品の品揃えを重視したもの。1品99円など価格が一定している業態が多い。どちらかというと中高年の需要を狙ったもの。

これらをポジショニング・マップの形で位置づけしてみたのが、冒頭の図です。

コンビニ新業態のポジショニング・マップや性格付けはいろいろな方がいろいろなやり方で見せていると思いますが、ここでは
・店舗オペレーションが
単純さ重視か/付加価値をつけ少々複雑さがあるか
・品揃え商品が
生鮮または生活重視か/雑貨や各種サービス重視か
で縦横の軸を作ってみました。
(まだまだ軸の定義や、各店舗のあてはめ方などいい加減です)

■実際に訪れてみると…
各業態の狙いをいろいろ聞いてみると、結構魅力的に思えます。しかし、これらの店舗を実際に訪れてみると、必ずしも便利さが感じられなかったり、面白みがなかったりすることがあります。もっとも私のような「観察者」の目線は実際の利用者のニーズとはかけ離れていることが多いので、たんに「面白くない」からといって切り捨てるべきものではありません。

でも、これら数々の新業態でこれまで本格的な多店舗展開まで踏み込めたものとなると、ナチュラルローソン と ファミマ!! くらいでしょうか。上記分類でいうと「A」に限られます(※ローソンストア100をはじめ生鮮型CVSはすでに多店舗化しています…。追加記事参照)。そもそも基本型と相当近い店舗形態なので、これらを「新業態」と位置づけてよいものかどうかも疑問が残ります。

一方“とんがった”新業態は、その特徴を出そうとすればするほど、他の業態、つまりSHOP99のような生鮮100円ショップとか、スターバックスのようなコーヒー・チェーンに限りなく近づいてしまいます。そして「その分野」では、その専門のほうが強いわけで、わざわざコンビニの派生型を作る意義が薄れる危険性があります。

はたしてコンビニの新業態のなかでは、今後どこが成功を収めていくのでしょうか。コンビニ基本形の弱点やそもそもの小売業態に関する話も含めて、時々ウォッチしていきたいと思っています。

▽関連情報:
コンビニウォーカー

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…コンビニに関する基礎情報、最新情報がまとまって掲載されている

日経ビジネスonline ローソン 量産続く新業態の“忘れ物”
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20061130/114613/
…“定点観測”の1社としてローソンを採り上げている

コンビニ店員のつぶやき日誌!! コンビニ業界ニュース
http://park6.wakwak.com/~ukyou/
…コンビニに関するさまざまな情報

上田流通問題研究村 コンビニチェーン動向
http://www.d1.dion.ne.jp/~syunsyun/CVS.html
…流通業界および流通情報システム全般に関する情報