身体測定サービスをコンビニなどで簡単に買う(受ける)ことができる時代が、近づいているような気がします。
■測定サービスもパーソナル化
「身体を測る 02-身体測定のパーソナル化」で簡単に触れましたが、体組成計だけでなくいろいろな身体測定装置が小型化、パーソナル化し、一般家庭にも広がっています。しかし血液検査など少し本格的な検査装置を必要とする特性となると、いちいち高価な測定器を購入するわけにはいきません。また、検査そのものに専門的知識が必要な場合は、当然ながら医師や検査機関の力を必要とします。
そんなニーズに応えてでてきたのが「在宅検診サービス」(遠隔測定サービス)です。生体測定 製品・サービス一覧に、(在宅・遠隔)検診サービスのごく一例を挙げました。
リストまたは提供元が公表しているweb上の情報などを見ていただければわかるように、一般的な健康診断にあるメニューが多数揃っています。ほんのわずかの血液サンプルを送って生活習慣病の検診をしてもらうとか、爪や毛髪から栄養状態を測定するといったことがかなり簡単にできるようです。機器の貸し出しで睡眠時無呼吸症の検査を行うものもあるようです。つい最近報道で注目されたものとして、爪のサンプルからDNAを検査するといったサービスがあります。
これらの検査キットの写真を見てみると、まるで昔「学研の科学」で付いてきた実験セットのような趣(?)もあり、なんとなくワクワクしてしまう…、なんて思うのは私だけでしょうか(笑)。
■身体測定の分類
身体測定(検査)を、上図のように分類してみました。専門性を横軸に、頻度(1回きり/複数回/連続的)を縦軸にしてあります。
いつものことながら少し雑な図式で申し訳ありません。これは「一般個人が自分の身体を測定したいと考えた時にどこにお世話になるのか」という観点で示してあります。たとえば、
(a1) 年に1回か2回、一般的な健康診断を受けるには、勤めている方はきっと職場で健康診断を受けるでしょうし、在宅の方などは保健所が無料またはごくわずかの費用で実施している健康診断を受けに行けばよいでしょう。
(a3) 日常的連続的に体脂肪率を測りたい場合は、おそらく普及型の体組成計を購入するのが便利でしょう。
(b2) 内臓の疾患があって定期的にその状態を監視しなければならない場合などは、一般の病院に何度も通院して検査を繰り返すことが望ましいのでしょう。
■どんな分野が在宅検診サービスに向いているのか
個人的な印象ですが、次のような見方ができます。
(a1)―基本的な血液検査や尿検査などを含む健康診断― は、さまざまな事情で必要とする方々が一定数いると思いますが、多くの人は何らかの機会を見つけて医師による検査を得られるでしょう(しかも直接的にはほとんど無料)。なので、わざわざ在宅検診サービスを受ける必要のある層は少ないような気がします。
(a3)―簡単に買える測定器で間に合うもの― つまり体組成計、血圧計、心拍計、歩数計、血糖値計などパーソナル化が進んだ測定機器で測れるものについては、必要とする方は購入してしまったほうがまず早くて安くて便利です。
(b3)―少し専門的な測定を連続的にしなければならない場合― たとえば心疾患を判定するために血圧の連続測定をするとか、睡眠状態を毎日測るとかいったものは、測定機器を簡単に購入できるものではないので、医療処置や研究事業といった位置づけの中で、測定機器のレンタルなどを受けて測るといったことになるのではないかと推測します
(c1)(c2)(c3)―専門的な検査や測定― については、さすがに専門医や研究者などの力を借りて測定する必要があるでしょう。
→ そしてそれ以外の部分、主に薄いグレーのアミカケをしたあたりが、在宅検査サービスに向いた領域なのではないかと思われいます。つまり、次のような領域です。
(b1) 定期健康診断では行わない少し専門的な領域(癌マーカーの検査、感染症の検査など)
(a2)(b2) 測定器を購入(レンタル)したり病院に相談したりするほどではないが、必要な時には手軽に何回も測定したいもの(さまざまな栄養状態の測定、心肺機能、睡眠状態など)
料金は、安いもので3000円~5000円くらい。高いものでは検査後のカウンセリング料金などを含んで1万5000円~2万円といったところでしょうか。もちろん、専門的な検査を選んだり複数のサービスの組み合わせを選んだりすると、結果的にはもう少し値が張ってしまうかもしれません。しかし、家庭で手軽にさまざまな「身体測定」ができるということは結構便利で、そこそこニーズがあると思われます。
こうしたサービスのメニューが、コンビニとかスポーツクラブなどに「カード」のような形で商品として並んでいてもおかしくありません。「おでんと栄養サプリメントを買いに寄ったついでに、ミネラル検査サービスを買ってきた」なんていうことができたらよさそうな気がしますが、どうでしょうか。
■動物の健康を守る検査サービス?
「身体を測る 03-体組成計はまだまだ進化する?」の末尾で、「ペット用の体組成計はビジネスにならないか」といった余談をしましたが、健康診断サービスについても同じようなことがいえます。
そして驚くなかれ、すでに事業として成立しているようです。リストにある検診サービス業者のメニューを見てみると、たとえば「人間用のミネラル検査」(毛髪などのサンプルを切り取って送るスタイルのもの)と並び、「愛犬のミネラル検査」なんてものがあります。犬の被毛を採取して検査し「ワンちゃんの身体にたまっている有害なミネラル成分を測定」するそうです。
そんな商品があることに、なぜか非常に納得してしまいます…