さまざまな種類の身体測定装置を一覧表にまとめてみました。
[体組成の計測]
■高機能化する体組成計
測定器の小型化・一般化について、「身体を測る 02-身体測定のパーソナル化?」で話を始めました。その話題の中で触れたいくつかの身体測定装置の例を、本blogと並行して運用している生体測定 製品・サービス一覧に挙げてみました。もちろんここに拾い出した商品はごく一部にすぎません。(徐々に改訂し、情報を増やしていく予定です)
これをもとに、少し取りとめもない話を続けます。
家庭用の体組成計に関する情報はweb上に多数あるので、あえて少し本格的な業務用のもの…「身体を測る 01」で紹介したものを中心に掲載しました。
この前の記事で、身体測定器の用途を次の5つに分類しました。
1.緊急用:いざというときのために用意しておくべき測定器
2.健康診断向け:日常的な健康状態を測るために常備しておく測定器
3.スポーツ向け:スポーツでの競技力向上に便利な測定器
4.介護・支援向け:要介護者などの身体状態や見守りのための機器
5.専門医療用
家庭用体組成計の用途は、ほとんどが「2.健康診断向け」になるでしょう。しかし上記の表に上げた商品は主に業務用なので、「3.スポーツ向け」や「5.専門医療用」といったものも含まれます。安価な家庭用体組成計でも多機能化、精密化が進んできているようで、今の業務用体組成計の測定レベルはどんどん家庭用でも実現されていくのではないでしょうか。
■なぜ身長や年齢を入力するのか
ところで、BIA法(biometric impedance analysis法)で、身体に流した微弱電流の電導率(逆数でいえば「インピーダンス」…交流電流における抵抗値)で脂肪部分と筋肉部分の割合がわかるなら、あとは体重の実測値がわかれば体脂肪量(率)が割り出せそうな気がします。
しかし多くの体組成計では、測定の前提として性別・年齢・身長を入力します。これは、ようするに電導率だけでは正確な計測ができないので、性別・年齢・身長で補正しているということになります。というより、先に性別・年齢・身長という条件を決め、その条件の上で適合するパラメータもしくは換算テーブルをあてはめていると考えられます。
体組成計の計測データがどのように関係しているかを、冒頭のように図示してみました。かなりいい加減な図式なのはご了承ください m(__)m 。
ためしに脚だけで測る家庭用体組成計で、自分の性別・年齢・身長をわざと入れ替えて測ってみたら、次のようになりました(いずれも入れ替えた設定値以外の条件は正しい設定値のまま)。
・正しい性別・年齢・身長で「体脂肪率:14.5%」
→
・性別を 女性 にすると「体脂肪率:25.5%」
・年齢を 15歳若く すると「体脂肪率:15.0%」
・身長を 10cm高く すると「体脂肪率:21.1%」
・身長を 10cm低く すると「体脂肪率:7.4%」
このとき計測された体重はもちろん一定です。計測された電導率(インピーダンス)も等しいはずです。しかし換算された体脂肪率はかなり変化します。あたりまえといえばあたりまえなのですが、見方を変えると「世間的な平均値」に無理やり変換されたと考えることもできます。
事実、体組成計を研究・開発しているあるところの担当者に話を聞いたところ、「高い精度で実測ができれば、年齢と身長は判定に必要ない。むしろ実測値のみに基づいているという意味で正確な数値になるはず」とのことでした(性別については聞き忘れました)。つまり、上の図で「手入力による設定…性別・身長・年齢」部分を外してきちんと測定できるような測定理論と精度の高いセンサーを用意することも、高性能化を目指す一つの作戦になるわけです。
■動物用の体組成計?
またしても余談ですが、動物用の体組成計というのを作ったら、ビジネスにはならないものでしょうか?
人間用の体組成計に犬とか猫とか動物を乗せて測っても、当然ながら正確な数値は測定できません。そもそもおとなしく体組成計に乗ってくれそうにありません(笑)。
現代のペットブームは、ニーズさえあれば愛犬、愛猫に人間並みの投資をすることも珍しくありません。一方“生活習慣病”の犬や猫が増えている昨今、ニーズは十分にありそうです。しかも、商品化のプロセスは(人間用の商品開発を通じて)ほとんど確立されているわけです。
あとは、
・ペットの種類や体長別にさまざまな測定データを蓄積すること
・ペットが素直にセンサーをあててくれる方法を見つける(たとえば四肢にクリップを挟むなど)
といった課題が解決できればよさそうな気もします。どうでしょうか?