NHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」。宇宙飛行士の選抜試験にテレビカメラが入ったのは初めてだそうです。閉鎖環境試験で個々の受験者が評価されていく様子など、興味深い番組でした。
〔NHKスペシャル 宇宙飛行士選抜試験〕
■テレビカメラで見る選抜の様子
10年ぶりに行われたJAXAの宇宙飛行士選抜試験の内容が、NHKスペシャルで報道されました(NHKの番組宣伝ページ)。最終選考に残ったのは10人。うち2人、油井さんと大西さんが選抜されたことが先日報道されたばかりですが、その選抜の一端が画像で示されました。
前回(10年前)の宇宙飛行士選抜時の際、最終選抜まで残った白崎修一さんという方が大変興味深い本を著しています。本サイトでもその本を紹介「中年ドクター 宇宙飛行士受験奮戦記」させていだたきました。その他「閉鎖空間の人間関係(NBonlineより)」など、宇宙飛行士選抜と一般企業でのマネジメントを絡めながらいくつか記事を書いてきました。
JAXAとしては、選抜で重視する内容が毎回変わってきていることでしょう。今回の選択では、宇宙ステーションでリーダーとなって働けるコマンダーの選抜を目指しているようで、番組でも閉鎖空間でのリーダーシップのとり方を評価している様子が特に強調されていました。
■最終選抜まで残ったのは10人
番組によると、今回の選抜は次のステップで行われたとのこと。
0 応募:理科系のバックグラウンドと実務経験 →963人が応募
1 英語力や仕事の実績審査 →230人に絞られる
2 物理や化学などの専門知識の審査 →50人に絞られる
3 医学検査、および面接 →10人に絞られる
4 閉鎖環境試験、NASAでの面接、最終面接 →2人合格
最終面接に残ったのは、パイロット4人(油井氏、大西氏、S氏、D氏)、医師2人(E氏、K1氏)、科学者・技術者4人(A氏、U氏、K2氏、Y氏)。正直、この人たちがすでに持っているキャリアの内容を聞くだけで、我々一般人はため息をついてしまいそうです。それほど超優秀な方々が選ばれています。おそらく、この段階になると誰でも十分に宇宙飛行士になる資質を持っている方ばかりなのでしょう。
■閉鎖試験で測られる資質
宇宙飛行士に必要な資質としては、次の4点ほどが説明されていました。
1 リーダーシップ
2 ストレス耐性
3 場を和ませる力
4 緊急対応力
これらを閉鎖環境の中で測るための試験は20種類以上行われたとのこと。うち
・ロボットの設計と製作
・折り紙(多数の鶴を折り続ける)
・特技の披露
などが映像で示されていました。その後米国NASAに出向いて行われた面接試験、日本での最終面接などが紹介されていました。
正直いってテレビで紹介された試験の内容はごく一部に過ぎません。先に触れた白崎さんの本「中年ドクター 宇宙飛行士受験奮戦記」の方が詳しいと思われます。しかし、実際に映像でこれらの様子が見られるのは、やはりインパクトがあります。
そして最後に受験者に問われるのはやはり「覚悟」だとのこと。これはたぶん宇宙飛行士だけでなく、他の職業でも基本的な同じことなのだろうと推測します。