年末の築地の街

築地はどんどん変わっています。場外市場は中層ビルが増えるとともに、路面に面した店舗は入りやすくなりました。場内は店の看板も昔と様変わりし、商品の単品売りも増えています。年末の休日ということもあってか、子ども連れ一般客も目立ちました。

新しくなった吹田商店
〔新しくなった吹田商店〕

■近代化のなかに特徴を出した店舗作り
1年半ほど前に「脱皮を目指す?築地周辺の商店」および「築地場外の半値市」という記事を書きました。「半値市」の記事で晴海通りに面した吹田商店さん(昆布の専門店)の建物が建て替え工事に入ると書きましたが、その吹田商店さんの店舗は10月に新装開店しています。写真のように、店舗というよりその一角が一つの大きなビルに変貌しています。

1年半前(06年5月)の写真と今回(07年12月)の写真と見比べてみてください。アングルが逆なので少しわかりにくいかもしれませんが、晴海通り沿いを中心に築地場外市場は古い街並みから中層のビル群へと変わっています。今回の写真右上にも見えるように、屋上には大きな看板が増えています。一言で言えば“近代化”が進んでいます。

と同時に、店舗作りとしては、むしろ古くから馴染んでいる店構えの雰囲気を踏襲していることがわかります。吹田商店さんの場合は、店正面の看板や構成が過去のものとほぼ同じ。店内も、旧店舗で使われていた部材の一部をそのまま再利用したそうです。昔の大福帳(?)を吊るすなどして雰囲気を出し“レトロ感”が感じられます。

落ち着いた店内の様子
〔落ち着いた店内の様子〕

ここ数年の間に改築された他の店舗にも言えますが、概して1階の店舗は間口が広まったとともに、老舗としての落ち着いた雰囲気を保っています。一般客が入りやすくなっているのは確かです。

■場内も様変わり、子ども連れ一般客も
変わったのは場外だけではありません。場内の店舗も少し見ない間にずいぶんきれいになったようです。以前は玄人専門の生鮮市場らしく、“わかる人だけわかればよい”といった雰囲気が満ち溢れていました。今ももちろん従来と変わらず骨太な店舗の集合であることに間違いはないのですが、一部の中卸業者の看板デザインは相当きれいになっています。写真のように、ファサード(前面)にインターネットのURLが書かれている店もあります。

築地場内の看板
〔築地場内の看板〕

商品も、思った以上に小分けされたロットで用意されていました。訪れた日が年末の休日(臨時開場日)、つまり場内・場外とも年の瀬で一般の買い物客が最も増える時期だったので当然なのかもしれませんが、それにしても「1匹100円」とか「1箱1000円」といった単位で魚があちこちに並んでいたようです。

お客さんで特に目についたのが親子連れです。市場場内の奥の方にさえも、小さい子ども連れの家族が多数みられました。ターレットが走り回る場内に小さな子がいると危なくて心配になりますが、あるいはこうした現場を小さいうちに見ていると、市場の活気を肌で感じたり、魚を食べることに親近感を持ったりするものなのかもしれないとふと思います。

築地市場本体の建物は、天井の様子(写真右上)からもわかるように、相当に老朽化しているのでしょう。しかし個々の店作りを見ていると、それぞれの商人らしさや活力があり、やはり「一つの商店街として生きている」と感じられるところです。市場本体の豊洲移転問題がどう決着していくか不透明ですが、どう転んだとしても、官の無意味な政策のごり押しにより商人の活力が圧迫されないことを願いたいところです。